美味しく喰らう

天才とは様々なものを「美味しく喰らう」存在

ちゃんとしたものを書くためには

ちゃんとしたものを書くのは骨が折れる。本当にちゃんとしたもの.......おそらく私はそのようなものを書いたことがないし、世の大半の人がちゃんとした文章群などの執筆とは無縁な生を送っていることだろう。一方、ちゃんとしたものを読む方はこれは書く方と比べればかなり多いと思われる。しかしそれも人類全体の中ではせいぜい4割に満たないことだろう。まぁ人類全体の4割となると30億人強ということになるだろうし、ちょっと多めに見積もりすぎたかもしれない。一応はまだ先進国であるところの日本の1億2000万のうち4800万がちゃんとした文章群を読んでいるということも私には些か信じ難いので、ここの見積もりはもう少し少なくても良いのをかもしれないが、多ければこの程度だろうとも思えるのでひとまずこれはこれで良いだろう。そもそもこの数字というものは、"ちゃんとした文章群"をどこまで含めて考えるのかということに依存することになる。しかしこの辺りは全く本題ではないのでもう切り上げよう。
とにかくちゃんとした文章群を記述するためには、その10倍近いインプットが不可欠であることは、そのようなものの紛い物に手をつけたことのある勉強を怠った怠け者諸君にはよく理解できる話だろう。本当にちゃんと精密に議論を重ねようとすれば、調べなくてはならないことは多すぎるし、とにかく今こうして私がブログの更新に勤しんでいるのもそのような調べ物をどこから手をつけようかなどと考えて気が遠くなっているからに他ならない。しかしなんなれば今私が調べ物の手のつけ所が分からなくて気が遠くなっている事柄など、私が論じたい問題の最初の一歩に過ぎないのだ。となると全くこの先はもっと思いやられることになるが、しかしちゃんとした文章群に必ず先行研究の引用があるとは限らない。それでもそれらに先行研究の調査や勉強が無いなどということは到底信じられない。
どのレベルのもので満足できるのかということがここで問われることになるのだろうか? 否、もはや次元はそのようなところにはないだろう。ある文章をあたかも見た目ちゃんとした文章群に見せかけることは容易いものだ。実際この前そのような紛い物を作ったが、そこで仕組まれた紛い物ゆえの贋作たるは、少なくともその文章を見せた人には見抜かれていない。結局私はそれに関して自分から種明かしをした。とは言え、それは専門領域の問題も含まれることになるだろう。では同じものをちゃんとした勉強をした人に見せたら? おそらく紛い物であることは容易に見抜かれるのではないか?
果たしてブログ等々でこのような紛い物を量産することは、"ちゃんとした文章群"に含まれうるような大作を記述するための訓練として有効なのか? 一方では是でありもう一方では否であろう。つまり私はこの問いに対して答えを出せない。または二通りの方法によって全く真逆の結論を出せる。
このように問に対する答えが一意に定まらないことは、世の中生きていく上では多くないわけだが、一方でそれがあたかも一意に定まるかのように語る言説というものは途絶えることを知らない。知的誠実さのようなものに基づくならばこれは定まらないことをはっきり示すべきなのだろうが、一方、よりよく生きるということを問題にするならば、時に応じてはあたかも一意に定まるのだと信仰させることは善では無いのだろうか。私はそれが善であるとは一応信じることにする。
とにかく我々は何かにつけて最終信仰と共に生きることなしには常になんらの根拠も与えられていない無規定な現実を無制限に揺蕩う他に全くなんらの方法もなくなってしまうだろうし、それは実存的生の遂行にとっては不都合な事態なのだ。
この後に続く言葉もおそらく作り出すことはできる。ここで語られていることはレトリカルなくせに抽象的すぎる──もはや衒学的とすら呼べない!──のだから。詳細に分けいって、それこそ先程棚上げした"ちゃんとした文章群"とは何なのかを規定しようと試みたりすれば、なるほど確かにもっと文章は続く。しかしそれをちゃんと考えようとすればこの記事は完成しないだろうし、逆にちゃんと考えずにあーだこーだ言っても、それは信仰の問題になってしまうことだろう。だから、無理に書き続ける理由が私にはないのだ。
しかしとは言え、現時点で文字数が1795字(5の時点)になっているのだから、いっその事2000字を越えるまでは何か意味の無いことを垂れ流したい心持ちも少なからずある。というよりそのようなことを望むなら、レトリックを増やしてみてもいいのかもしれないが、しかし一度書いた文を書き直すことはこの記事に置いてはあまりしたくない。ところで、そういえば全く表題の問に対しては答えていないような気がするが、答えているような気もするので改めてこれに答えてこの記事を終わらせることにしよう。

Q.ちゃんとしたものを書くためには
A.とにかくちゃんと勉強をしなくてはならない